男子日本代表:「FIBA男子オリンピック世界最終予選」大会総括 -世界との真剣勝負を戦い終えて-

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 7月4日(月)よりセルビア・ベオグラードで開催された「FIBA男子オリンピック世界最終予選(以下、OQT)」は、予選ラウンドでラトビア代表に48-88、チェコ代表に71-87で2連敗し、オリンピックへの挑戦は幕を閉じた。「アカツキファイブ」男子日本代表チームは、悔しい思いで本日7月11日(月)に帰国した。

 これまでも男子日本代表チームは、悔しい思いを何度もしてきた。

 3年前、フィリピン・マニラで行われたFIBA ASIA選手権では9位に終わり、呆然とするしかなかった。昨年、アジア4位となってOQTへの切符を勝ち取ったにも関わらず、3位決定戦でフィリピンに敗れた後、悔し涙を流していた#6比江島 慎選手。しかし今回、全員が感じた悔しさはこれまでのアジアレベルではない。世界との真剣勝負を繰り広げ、この悔しさをバネに新しい一歩を踏み出し始める。

 帰国後、長谷川 健志ヘッドコーチ、#0田臥 勇太選手、#3辻 直人選手、そして#6比江島 慎選手が、またチームとは別で、直接アメリカに戻った#12 渡邊 雄太選手が率直な気持ちを語ってくれた。悔しさとともに、前向きな言葉が多かったのが印象的であり、それぞれが世界に照準を合わせていた。

 
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■長谷川 健志 ヘッドコーチ

- OQTの総括について

 アジアと世界の戦いは違っていたという印象を受けました。ワンランクもツーランクも上のレベルでした。この差は真剣勝負でしか分からないことです。ラトビアもチェコも、我々のゾーンやどう攻めてくるかもスカウティングされていたのは、親善試合と大きな違いであり、彼らも本気でした。
 ラトビアとチェコは同レベルであり、1試合目の修正をしっかり2試合目に出すことができ、チェコ戦の第3ピリオドには10点まで詰めることができました。もう少し経験を積んでいけば、ラトビアやチェコには勝てるチームになれます。ラトビア戦は40点差はつきましたが、実際にそこまでの差はありません。ただ、20点くらいの差はありますが、そこを詰められる可能性は十分にあります。この2チームのレベルと対等に戦うことができなければ、世界のレベルに通じません。セルビアの試合を見ましたが、さらにワンランク上でした。そのレベルに行くためにも、まずはラトビアとチェコにできるだけ早く追いつけるようにしなければなりません。

- 3Pシュートを決められてしまうケースが多かったですが、高さのある相手に、小さな日本がどう守るかとフォーカスして強化してきた部分は手応えも感じられたのでは?

 まだ全部は守れないので、インサイドを守ろうということを、アジアとの戦いも含めて私が率いてきたときからのテーマでした。アジアの戦いであれば、今回のような確率高く外からのシュートは入りません。でも、ヨーロッパは組織力も個人の力も、アウトサイドのシュート力も全てがレベルアップしています。4年前のOQTで韓国のゾーンディフェンスがうまく機能していましたが、4年が経ち、ヨーロッパのチームの組織力がもう1歩、2歩先に進んでいるなと思わされました。高さやフィジカルだけではなく、個人のディフェンス力、オフェンス力、シュート力、組織力までアジアとはレベルが違うと痛感させられました。

- フィジカルやパワーで劣る日本がさらに伸ばすべき点は?

 個のレベルを上げて組織力を高めていくしかないです。シュート力にしても、パスの技術にしても、目指している部分を今までより上に設定していかなければダメです。そこはフランス戦も含めて、対戦相手のプレイから感じたことは、日本の選手たちも練習し、継続していけばできるようになるプレイはいくらでもありました。フィジカルや高さは関係ないプレイもいっぱいありました。その良い部分を目指さなければいけません。
 プエルトリコのガードのようなプレイは積み重ねていけばできるようになります。セルビアは210cmのパスワークがすごかったですが、小さいときからやっていく必要があります。今後は世界をしっかり目標に定め、高みを目指すことから始めることが大事です。
 2020年の東京オリンピックまで4年しかありません。具体的に選手を海外に行かせるとか、ピンポイントで改革していく必要性を感じました。

 
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■#0 田臥 勇太 選手 ※キャプテン

- 世界と真剣勝負できた感想は?

 本当に悔しい結果で終わってしまいました。世界のレベルを肌で感じることができ、ここからが本当に世界を目指すスタート地点。個人としても、チームとしても、やることが明確になった大会でした。それら全部を含めて、これから先に進んでいくしかないという状況になることができました。

- 決勝戦のセルビアvsプエルトリコ戦を目の前で見た印象は?

 みんなが国を代表し、背負ってるプライドや責任が他の国の選手たちはすごかったです。それを後押しするセルビアのファンも、文化としてすごかった。とにかく全てが刺激になりました。
 セルビアのレベルでもOQTに出ないとオリンピックに出られないわけで、世界のレベルがとてつもないということも知ることができました。日本はこれから一歩一歩進んで行くことが大事です。日本にいながらもその意識を持って取り組んでいかなければなりません。世界のレベルを感じられたことが、これからのモチベーションになりました。まだまだできることはいっぱいありますし、全員で努力を続けていきます。

- 今回OQTに出場した12名が世界レベルを体験した選手です。今後、他の選手たちが挑むことでさらなる競争が生まれますが、Bリーグを通じてどのように切磋琢磨していきたいですか?

 毎試合を激しく戦って、それぞれが競争しあっていくことが世界で勝つことにつながっていきます。この経験をしたメンバーは常に世界を意識してやらなければいけないし、そういう経験をしたい選手はもっとたくさんいるわけですから、負けないように全選手が競争し合うことが大事です。

 
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■#3 辻 直人 選手

- 世界を戦った感想は?

 ラトビアは強かったです。組織ができており、かなり圧倒された感じでした。チェコ戦に関しては、勝てる思っていただけに本当に悔しいです。

- 世界との差はどう感じましたか?

 相手の守り方は、これまで経験したことがなかったです。動けるビッグマンにマークされたことで戸惑ってしまい、自分のスキルの無さを痛感させられました。

- 昨シーズンから準備してきたピック&ロールも足りなかったということですか?

 そうですね。ピック&ロールに関して言えば、セルビアやプエルトリコの選手はすごくうまかったです。スイッチされても、彼らはそこから崩す力を持っていました。僕も今後、絶対にその力をつけていかないといけないと思いましたし、それが一番の収穫でした。

- 早くも世界に照準を合わせて、さらなるレベルアップに取り組みたいのでは?

 (シーズンから休みなく来たので)少し休みますが、すぐに練習したいというこの気持ちを無駄にはしたくないです。この気持ちを持っている今がチャンスだと思っていますし、まずはフィジカルの部分を鍛えていきたいです。

- 決勝戦のセルビアvsプエルトリコ戦を目の前で見た印象は?

 セルビアと対戦したらどういうことができるんだろう、と思って見ていました。まずボールは簡単にもらえないだろうし、あの大きいサイズであの厳しいディフェンスをされると考えると、今の自分ではきついものがあると素直に思いました。ただ、プレイに関して言えば、確かに差はありましたが全く届かない距離ではないです。どのチームも似ており、まずは同じレベルに追いつかなければいけないと感じました。

 
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■#6 比江島 慎 選手

- チェコ戦の後、「もっとできた」と言ってましたが、それでもできなかった原因は?

 初戦は自分自身慌ててしまっていました。もっと冷静にやらなければいけなかったです。スピードで抜くタイプではないのに、そのまま突っ込んでしまったりしていました。もっと緩急をつけてタイミングをずらしながら、アタックするだけではなく、周りを見てアシストすれば良かったと後悔しています。

- 世界を経験したことで、克服すべき目標が見えたのでは?

 余裕を持ってプレイすること。そのためにはボールハンドリングもっとよくしていかなければなりません。シュート力の違いはすごく感じました。このレベルで試合を重ねていくことが大事ですし、やれる自信はあります。2試合しか戦えなかったことが本当に悔しいです。

- アジアとヨーロッパの選手の体格に対する違いは感じましたか?

 そこはあまり変わらなかったです。でも、上手さやスキルは全く違いました。シュート、パス、ドライブの質は一つ、二つレベルが上だと思いました。

- “世界に通用する選手やチームの輩出”を使命にしているBリーグであり、世界で勝つためには選手自身が海外に活躍の場を求めていく必要性は感じましたか?

 正直言って、海外に出ないとこの差は縮まらないと思いました。渡邊雄太選手はアメリカでやってる分、僕らとは違うものを持っていました。Bリーグだけでは埋まらない差はあると思っています。

 
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■#12 渡邊 雄太 選手

- 今大会は2試合で終わりました。今思うことは?

 本当に悔しいの一言です。他も国も同じように全力でやってきたわけですが、短い期間で、みんなでリオを目指して一生懸命やってきたので勝ちたかったです。世界の強豪を相手すると、実力が不足していることを感じました。

- 悔しいとありましたが、具体的にどう悔しかったですか?

 自分としても、今大会にかなり意気込んで臨みました。久しぶりに代表復帰ということで、自分の力がどれだけ世界相手に通用するか、試すチャンスでもあると思って、参加しました。しかし自分の力はまだまだと痛感されました。

- もっと出来ると思っていた点はどのような点ですか?

 得点を取ることもそうですし、リバウンドを取ることも、もっと出来ると思っていました。ですが、実際には全然数字は残せなかったですし、全然力は足らず、甘く見ていました。もちろん、まだまだ自分には力が足りないのはわかっていましたが、予想以上に出来なかったというのが感想です。

- この後、ジョージ・ワシントン大学に戻るわけですが、どのようなことを課題にして、今後成長していきたいですか?

 今回、チームとしても、個人としても、出来ないことが分かった大会でした。今回のような世界レベルでの経験を積むことが日本代表にとっても大事なことだと思っています。僕は普段大学生相手ではありますが、レベルの高い中でバスケットが出来ているので、今回の経験を糧に、ずっと課題としているフィジカル面でパワーアップし、どう戦っていくかを工夫しながらやっていきたいです。

- 8月には国際親善試合がありますが、意気込みを教えてください。

 日本の体育館で試合をするのは久しぶりですので、とても楽しみにしています。多くの方々に会場に足を運んでいただき、プレイはもちろん、ジョージ・ワシントン大学のことを知ってもらえたらなと思っています。

 
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