JAPAN PRIDE ~目標は世界一!~ 〈男子ユニバーシアード日本代表 陸川 章コーチ〉

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 今年、いち早く代表活動を始動させたのは、男子ユニバーシアード日本代表チーム。このチームが目指す「第29回ユニバーシアード競技大会 バスケットボール競技」は、来年2017年の夏に台湾・台北市で開催される。大会の約1年半前となる2016年2月17日(水)より強化合宿がスタートした。初日のミーティングで、チームの指揮を執る陸川 章コーチより、チーム目標“世界一”が発表される。

「(この目標に対して)みんな無理だ、できないと言うだろう。でも「世界一」を目標として掲げなければ、そこに近づくこともできない。1985年大会で6位になったのは僕らの代だった。その時は6位入賞を目標としてクリアできたのだが、喜びよりも後悔の方が強い。目標設定を失敗したと思った。4位と言っていれば4位になれたかもしれないし、メダル獲得にしていれば叶ったかもしれない。もっと高い目標設定にすれば良かったと今でも後悔している」

 男子ユニバーシアード日本代表チームは過去に3度、6位以上の入賞経験がある。1995年福岡大会の準優勝が最高位であり、黄金世代と言われた竹内 公輔選手(NBL/広島ドラゴンフライズ)と譲次選手(NBL/日立サンロッカーズ東京)らのチームは2007年バンコク大会で4位となった。陸川コーチが現役時代の1985年神戸大会では、目標通り6位入賞を飾っている。

 日本はチームとして世界一を成し遂げたことはないが、選手個人としてはすでに世界一を輩出している。2009年ベオグラード大会では金丸 晃輔選手(NBL/アイシンシーホース三河)が得点王(平均29.8点)・3Pシュート決定率(54.3%)・フリースロー決定率(93.3%)の3冠を達成。西村 文男選手(NBL/千葉ジェッツ)はアシスト王(平均6.3本)、比江島 慎選手(NBL/アイシンシーホース三河)もフィールゴール決定率(62.9%)で世界1位の成績を収めた。今度はチームで世界一を目指す番だ。

2009年、2011年に続き、3度目のユニバーシアード日本代表を率いる陸川 章コーチ
2009年、2011年に続き、3度目のユニバーシアード日本代表を率いる陸川 章コーチ

「世界一」へ向け、陸川コーチが4つのやるべきことを掲げた。
① 世界一のハードワーカー
② 世界一のディフェンスチーム
③ 世界一のトランジション
④ 世界一のチームワーク

 「世界一のハードワーカー」になるべく、朝6時から練習開始。まだ陽が昇らない寒空の中、トラックで400mを走り抜く。「朝のラントレで400m×3本を走るのは、本当にきつい練習です。その中でもみんなが全力を出し切ってくれました」。中学時代は陸上部で400m走の選手だった陸川コーチは、その辛さを一番よく知っている。

 「世界一のディフェンスチーム」を作るには、「5人で守るという意識をもたねばならない。そのために必要なのはトークであり、コミュニケーション」の重要性を徹底させている。小さい日本人が足を使ってしつこく守らなければ勝機が見出せないのは、どのカテゴリーも同じこと。「良いオフェンスが良いディフェンスを作ります。オフェンスは『やっつけてやる』という気持ちをもち、楽しみながらやっていました。それをどう守るかという競争が良かったです」。ハードワークに競争することが成長につながっていく。

 攻守の切り替えを早くして、数的優位な状況を作るためには「世界一のトランジション」が必要だ。それを実現するためにも走力が大事であり、2月~3月にかけて行われた3度の合宿中、常に選手たちは走っていた。トランジションは攻守の切り替えだけではなく、気持ちの切り替えも求めている。「1回のミスにとらわれず、未来のことを意識し過ぎないこと。試合中はどんどん時間は進むわけだから、ミスして時間をロスすることなく、常に“今”に集中してベストを尽くすことが大事です」。考えすぎてしまい、自滅するケースも少なくはない。プレイとともに、気持ちの面でも切り替えを早くさせ、世界一のトランジションを目指していく。

 「世界一のチームワーク」は、仲間とともにハードワークを乗り越え、試合では大きな相手を守り、切り替えを速くさせながらコミュニケーションを図ることで自ずと築かれていくはずである。

 合宿初日、陸川コーチは開口一番、「みんなが日本のバスケット界にとっての宝であり、希望であり、光である。だからこそ、輝かねばならない」という熱いメッセージを選手たちに送った。第3次強化合宿に進むと慣れが生じ、そこから生じる集中力に欠けた時間帯が見られた。すると、滅多に怒ることのない陸川コーチが練習を中断して選手たちを集め、大声を張り上げた。

「ここは絶対に譲ってはいけないと思いましたし、私自身にも言い聞かせるつもりで叱咤しました。その後は彼らはよく頑張りました」

 世界一は自らを律し、努力し続けなければ、そのスタートラインにも立てない場所である。揺るぎない「JAPAN PRIDE」を掲げ、大学生たちのチャレンジが始まった。

選手たちを集め、気合いを入れ直す陸川 章コーチ
選手たちを集め、気合いを入れ直す陸川 章コーチ


陸川 章

  • 1962年3月11日生
  • 日本体育大学出身
  • 東海大学 男子バスケットボール部 ヘッドコーチ(監督)
  • 日本リーグではNKKのビッグマンとして活躍。学生時代から日本代表として世界と戦い、主将も務めた。
    1999年、NKKの廃部とともに現役を引退。その後、海外でのコーチ留学を経て、2001年より東海大学 男子バスケットボール部のヘッドコーチとしてコートに帰ってくる。4度の日本一に輝き、2009年、2011年には男子ユニバーシアード日本代表チームを率い、今回で3度目の世界挑戦となる。