絶対に負けてはいけないルーズボール 〈男子日本代表候補 田臥 勇太選手〉

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 男子日本代表チームが1997年大会で準優勝してFIBA世界選手権に出場して以来、18年ぶりにアジア予選を突破して世界への切符を自ら獲得した。今年7月には「FIBA男子オリンピック世界最終予選」が待っている。2013年フィリピン・マニラ大会で9位に甘んじた男子日本代表チームだが、2年間でアジア4位へと大きく躍進を遂げた要因の一つがルーズボールである。

「どの国と戦っても、ルーズボールの部分では負けてはいけない部分であり、気持ち一つで補えます。その意識をチーム全員が持つことで、日本がリズムを掴んでいくための手段の一つでもあります。国際大会では、ルーズボールのような小さなチャンスを逃さずに戦っていかなければいけません」

 誰よりもルーズボールに飛び込み、何度となく日本にチャンスを呼び込んだ殊勲者は、最年長の田臥 勇太選手だった。ハードワークな姿勢は、チーム全体に伝搬していく。初戦のイラン戦では29本:45本と大きく差を開かれていたリバウンド数だが、敗れはしたものの3位決定戦でイランと再戦した時は33本:34本と1本差と僅差の勝負ができるまでに成長を遂げた。玉際で負けない意識を持ってボールに飛び込んだことにより、昨年のFIBA ASIA 選手権9試合中6試合で相手よりリバウンド数が上回っている。

初めてFIBA ASIA選手権に臨んだ田臥選手は、勝利したインド戦後にルーズボールやリバウンドの重要性をあらためて実感し、以下のコメントを残していた。
「本当に全員でリバウンドは頑張らねばならず、ルーズボールを一つでも多く相手より取らなければ勝てません。そこを頑張らなければ、いくら走るバスケットと言っても速い展開は生まれないです。走るためにはディフェンスとリバウンドをがんばらなければいけないことをインド戦で再確認できました」

ルーズボールを追う田臥 勇太選手
ルーズボールを追う田臥 勇太選手

「一番違うのはひたすら走って、ひたすらリバウンドに行き、ルーズボールも一番追っています。そこは見習わねばならないとともに、僕らがやらないといけないこと」と比江島 慎選手(アイシンシーホース三河)は田臥選手のプレイから気付かされ、その後は目覚ましい活躍を見せた。長谷川 健志ヘッドコーチも、「やっぱりリバウンドとルーズボールが大事であり、その見本となったのは全部、田臥でした」と全幅の信頼を寄せている。

大きな相手をダブルクラッチでかわし、ゴールを奪う
大きな相手をダブルクラッチでかわし、ゴールを奪う

 「FIBA男子オリンピック世界最終予選」へ向け、3月7日(月)から2日間、第1次強化合宿が行われた。久しぶりに日の丸をつけて練習した田臥選手は、自らの長所の再確認できた。

「自分たちの目指すバスケットを徹底することが大事です。身体能力ではどうしても対等に戦っては敵わない部分もあるかもしれませんが、そこで勝負するのではなく、それを補えるものを全員が意識し、気持ちの面も含めてしっかり準備していきたいと思っています」

 アジア予選同様、体を張ってルーズボールに飛び込むプレイが世界を相手にどこまで通用するか楽しみである。世界への切符を勝ち獲ったことで、目標であり、夢でもあるオリンピックへの出場へ大きく近づいた。

「昨年のアジア選手権ではじめてオリンピックを懸けた戦いに出ましたが、あれほどオリンピックを意識し、出たいと思ったことはありませんでした。そのチャンスが残されているので、その目標を達成できるように挑んでいきたいです」

田臥 勇太

  • 1980年10月5日生
  • 173cm/75kg/ポイントガード
  • 神奈川県出身
  • 秋田県立能代工業高校~ブリガムヤング大 ハワイ校~トヨタ自動車アルバルク(JBL)~ロングビーチ・ジャム(アメリカ・ABA)~フェニックス・サンズ~アルバカーキ・サンダーバーズ(アメリカ・NBA Dリーグ)~ベーカーズフィールズ・ジャム(アメリカ・NBA Dリーグ)~アナハイム・アーセナル(アメリカ・NBA Dリーグ)~リンク栃木ブレックス
  • 平成28年度男子日本代表候補選手
  • 平成27年度男子日本代表選手(第28回FIBA ASIA男子バスケットボール選手権大会 出場)
  • 平成22年度男子日本代表選手(第16回アジア競技大会 出場、スタンコビッチカップ 出場)
  • 平成13年度男子U-22日本代表選手(ヤングメン世界選手権 出場)
  • 平成11年度男子ジュニア日本代表選手(ジュニア世界選手権 出場)
  • 平成10年度男子ジュニア日本代表選手(ジュニアアジア選手権 出場)
  • 平成10年度男子日本代表候補選手(1998年/高校生で史上2人目)