男子U19日本代表:世界10位となり、互角に戦えたからこそ明確となった課題点

19875475_1769492129744991_7910268019666945693_n

 「FIBA U19バスケットボールワールドカップ2017」を戦い終えた男子U19日本代表チームが、エジプト・カイロより無事に帰国しました。過去最高となる世界10位の成績を収めた自信とともに、あと一歩及ばなかった試合も多く、課題も明確になりました。

 吉田 裕司チームリーダーは、「今大会を通じて『世界に近づいた』と実感しています。これまでもドイツ遠征などでヨーロッパの強豪と対戦する機会はありましたが、あっという間に20点、30点と差を離されていました。しかし、今大会では互角に戦えることができており、選手たち自身も『ここまで来ることができた』と手応えを感じ、すごく自信になっています」と収穫の多かった今大会を振り返ります。

 「本当に準備が全てでした」という#14 西田 優大選手(東海大学 1年)の言葉が全てを物語っています。昨年7月、2位となって今大会への切符を掴んだアジア予選を終えた後、再び選手選考を行い、競争させながら毎月のように強化合宿を積み上げてきたことが要因の一つです。また、大会直前に行ったドイツ遠征が世界を知る大きなクッションとなりました。西田選手は、「ドイツ遠征では、相手の腕の長さや体格面での違いが大きく、気持ちの部分で引いてしまうところがありました」と何もできなかったようです。しかし、世界レベルを事前に経験できたことで、「緊張することも、驚くこともなく、初戦に入ることができました」

 昨年から合宿を積み重ね、準備を進めてきたトーステン・ロイブルヘッドコーチもまた、「日本は非常に不運な状況として、最初の4ゲーム中に準決勝に進んだ3チームと対戦しました。しかし日本は世界トップ10に残り、アジア勢では最上位の結果を残しました。特に、日本が世界のパワーハウスと同等のレベルでゲームができ、国際的にトップチームであるスペイン、イタリアと同等の戦いが出来たことは初めてだと思います。素晴らしい選手たちを誇りに思い、そして彼らの将来が有望であることを確信しています」と、今大会での手ごたえと選手たちの今後の活躍に期待しています。

ドイツ遠征で世界レベルを経験できたことで、落ち着いて本大会に入れたと言う#14 西田 優大選手(東海大学 1年)
ドイツ遠征で世界レベルを経験できたことで、落ち着いて本大会に入れたと言う#14 西田 優大選手(東海大学 1年)

 初戦のスペイン戦は67-78。最終結果は世界4位となった強豪を相手に、「最後まで勝ちを狙える試合ができたことは自信になったと同時に、悔しいという気持ちもありました」とキャプテンの#4 三上 侑希選手(中央大学 2年)は話しています。11点差で敗れましたが、初戦から良い形で大会に入ることができ、歴史を塗り替える戦いが始まりました。

 翌2戦目のマリ戦に勝利し、グループCを3位で通過。ベスト8を懸けたイタリアとのトーナメント1回戦は55-57、惜しくも2点差で敗戦。しかし、そのイタリアは決勝まで進み、銀メダルを獲得しています。「イタリア戦は本当に最後の最後にシュートを決められて負けてしまったくらい互角でした。悔しい気持ちの方が大きいです」と三上選手は言います。大会前の選手たちは、世界を相手にどこまでできるのか半信半疑だったことでしょう。しかしスペインと善戦したことで、世界と遜色なく戦えるチームへと変わっていきました。

キャプテンとしてチームをまとめ、選手それぞれの良さを引き出した#4 三上 侑希選手(中央大学 2年)
キャプテンとしてチームをまとめ、選手それぞれの良さを引き出した#4 三上 侑希選手(中央大学 2年)

 過去2度、この世代は世界の舞台に立っています。1991年第4回大会は16位(0勝8敗)、1999年第5回大会では14位(2勝6敗)と順位を上げており、第13回目を数える今回は3勝(4敗)するとともに予選ラウンドで初めて勝利を挙げました。世界の強豪チームと互角に戦えたからこそ、さらなる壁も明確になったようです。

 #14西田選手は、「ドライブした時に相手を抜くことはできましたが、フィニッシュまで行けなかったり、ブロックされてしまうことが多かったです。フィニッシュできるように、バリエーションはもっと増やさないといけないと思いました」と課題点を挙げます。#4三上選手も、「ヨーロッパのチームに負けないくらいの上手さが必要です。ボールハンドリングやバスケIQ、ピック&ロール、そして身体能力で劣る分、シュート力がとても大事だと国際大会に出る度に思わされます。今までよりも数段上のシュート力とチームワーク、ボールさばきが必要であり、そこを練習していかなければいけないと感じました」とさらに高いレベルを目指すためにも、やるべきことはたくさんあります。

#6 シェーファー アヴィ幸樹選手(ジョージア工科大学 1年)は世界レベルを肌で感じ、自分の現在地を確認
#6 シェーファー アヴィ幸樹選手(ジョージア工科大学 1年)は世界レベルを肌で感じ、自分の現在地を確認

 バスケットボールを始めてまだ3年程度の#6 シェーファー アヴィ幸樹選手(ジョージア工科大学 1年)にとっては、「トップレベルのチームにはさほど活躍はできませんでしたが、カナダなどにはNCAAで活躍する選手も多いので、これから同じ舞台に行くにあたり自分のレベルを測るには良い機会でした」と様々なことを吸収できたようです。今秋から、渡邊 雄太選手(ジョージ・ワシントン大学 4年)、八村 塁選手(ゴンザガ大学 2年)と同じNCAAディビジョンIの名門・ジョージア工科大学に進むことが決まっています。さらに、シェーファー選手は「AKATSUKI FIVE」男子日本代表候補となり、強化合宿に招集されています。「日本代表でも気負うことなく自分のできることを出しながら、いろんなことを吸収したいです。(フリオ)ラマス新ヘッドコーチがどんなバスケットを教えてくれるのかも楽しみです」と言うシェーファー選手にとって、この夏がターニングポイントになるかもしれません。

 世界10位という素晴らしい結果を残してくれた男子U19日本代表チーム。吉田チームリーダーは、「今回は八村選手やアヴィ選手がいたことで、高さの面でもある程度は対抗することができたわけであり、今回のこの結果を真に受けるわけにもいきません」と話しており、大きな選手が偶然揃った年でもありました。今後も大きな選手に恵まれる機会はないことを想定し、準備を怠らずに継続的な強化が重要です。それらを踏まえ、吉田チームリーダーは以下のように総括をしました。

 「トーステン・ロイブル ヘッドコーチが強化してきたプランが、世界に通用することが証明されました。今後もさらなる刺激を受けながら、日本の選手たちに取り組みやすい練習を加えて成長させなければなりません。小さくても勝てるように、もっと緻密に計画的に組み立てていくことが必要になります。今大会を通じて、練習をやればやるだけ結果が伴うことや、日本人でもできる、世界に届くということを持ち帰ることはできたと思っています」

 連日熱い戦いを繰り広げてくれた選手たち、そして連日たくさんのご声援いただいたファンの皆さんに感謝いたします。引き続き、7月22日(土)よりイタリアにて女子U19日本代表チームが、「FIBA U19女子バスケットボールワールドカップ2017」に挑みます。女子も大きな選手が揃っており、その活躍に期待が高まります。引き続き、ご声援をよろしくお願いいたします。

【関連リンク】
JBA大会特設サイト
FIBA大会公式サイト