新たな気持ちで臨む4年目の挑戦 〈女子日本代表候補選手 宮澤 夕貴選手〉

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 「もし自分がコートに立ったら何ができるだろうと考えた時に、リバウンドだと思って試合を見ていました」
 強豪・オーストラリア代表を迎えて行われた「バスケットボール女子日本代表国際強化試合2016 三井不動産 BE THE CHANGE CUP」の第1戦で、出番のなかった宮澤 夕貴選手はベンチから冷静にシミュレーションを行なっていた。第2戦目は8分27秒間のチャンスを与えられ、イメージしていたリバウンドに絡み、2得点、2リバウンド、1アシストと少ない時間の中でもスタッツを残すことができた。しかし、接戦となった第3戦は再びベンチから戦況を見つめる40分間となった。

 第2戦はベンチ入りした全17選手が出場機会を得た。宮澤選手の出場時間は、下から数えて6番目に少ない。3試合中1試合しか出ていない選手は3名しかおらず、その中には宮澤選手も含まれている。
 「三井不動産 BE THE CHANGE CUP」を終え、「多分、もう危ない位置にいる」と宮澤選手は話し、リオデジャネイロオリンピック出場メンバー12名の当落線上にいる危機感を感じていた。

 
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 過去3年間に渡り、日本代表に選出され続けてきた宮澤選手だが、信頼を勝ち取るまでの活躍は見られていない。昨年のFIBA ASIA選手権での出場時間は一番少ない33分。格下であるインド戦とタイ戦に出場し、それぞれ15点を挙げる。2014年FIBA世界選手権の時には、最後のブラジル戦に約1分間だけコートに立った。
「今だから言いますが、大会中に風邪をひいてしまって熱を出してました。リツさん(髙田真希選手)が3番(フォワード)にコンバートした時でしたが、私の体調不良のせいでタクさん(渡嘉敷来夢選手)の代わりがいなくなり、結局リツさんが3番と4番(パワーフォワード)をやるはめとなってずっと試合に出なくてはならず、あの時は本当に迷惑をおかけしました。申し訳なく思っています」
 反省の言葉とともに、内海 知秀ヘッドコーチからの信頼も失ったと宮澤選手は感じている。昨年のメンバーに入ったことについては、「悪い言い方になりますが、周りが怪我してくれたおかげで繰り上がって選ばれただけです」と自虐的な言葉はまだ続く。
「昨シーズンのWリーグでもあまり良い活躍ができなかったこともあり、日本代表候補に選ばれる自信もありませんでした」

 質問を投げかければ反省点ばかりを返ってくる。だが合宿中の表情は明るく、率先して声を出し、前向きに取り組んでいる印象を受けた。
「この合宿で必ず成長して、信頼を取り返したいという気持ちは強いです。昨年の日本代表で良い働きができなかったことをリーグ戦でも引きずっていた感じでした。でも今はリセットし、スッキリと新たな気持ちで合宿に臨めています」

 今年は本格的に3番ポジションを任され、目下のライバルは昨年は怪我のために合宿途中で離脱した長岡 萌映子選手。女子U-16日本代表からの戦友であり、高校時代からお互いをライバル視する二人。FIBA U-17女子世界選手権では5位入賞を果たすWエースとしてアンダーカテゴリーから活躍を続け、2年前のFIBA世界選手権では揃って日本代表に選出された。
「同期で張り合える存在がいて、お互いに意識しているんだろうなと感じています。萌映子は私にとって成長させてくれる良い存在だと自分でも思っています」

 6年前、FIBA U-17世界選手権から帰国後、すでに全国大会で名を馳せていた長岡選手に対し、「萌映子には負けたくない」と対抗心を燃やしていた宮澤選手。良きライバルであり、良き仲間であり、良き理解者でもある。何よりもこの二人は、外国人選手との対戦を好む似たようなタイプだ。
「日本の選手はチョコチョコしているから、それについていくだけでも大変です。それならば大きい相手の方が、フェイントも引っかかってくれるから楽な部分もあります。その分、相手の方がパワーは強いので、それに対応しなければいけないですけど、海外の選手の方がやりやすいです」

 当落線上にいることを自覚している宮澤選手にとって、ラストチャンスとなるヨーロッパ遠征ではしっかりアピールしていかねばならない。
「ディフェンスをしっかりやらなければ始まりません。チームディフェンスの決まりごともありますし、世界で勝つためにも日本はディフェンスが大事になるので、そこでアピールしていきたいです」
 過去3年分の反省を生かし、新たなる気持ちで3番ポジションとしてライバルと争う宮澤選手。35点差をつけて快勝した昨年のFIBA ASIA選手権の決勝の中国戦でも、宮澤選手は最後の最後となる2秒前にようやく起用された。内海ヘッドコーチに忘れ去られる傾向にあるので、ベンチにいるときからしっかり存在感を示し、そのチャンスを生かして成長につなげて夢に向かう。

良きライバルであり、良き仲間である長岡 萌映子選手とともに、練習中に笑顔を見せる
良きライバルであり、良き仲間である長岡 萌映子選手とともに、練習中に笑顔を見せる


宮澤 夕貴

  • 1993年6月2日生
  • 182cm/70kg/スモールフォワード
  • 神奈川県出身
  • 横浜市立岡津中学校~神奈川県立金沢総合高校~JX-ENEOSサンフラワーズ
  • 平成28年度女子日本代表候補選手
  • 平成27年度女子日本代表選手(第28回FIBA ASIA女子バスケットボール選手権大会 出場)
  • 平成26年度女子日本代表選手(第17回FIBA女子バスケットボール世界選手権大会 出場)
  • 平成25年度女子日本代表選手(第27回FIBA ASIA女子バスケットボール選手権大会 出場)
  • 平成23年度女子3×3日本代表選手(第1回ユースゲームス 出場)
  • 平成22年度女子U-17日本代表選手(第1回FIBA U-17女子バスケットボール世界選手権大会 出場)
  • 平成21年度女子U-16日本代表選手(第1回FIBA ASIA U-16女子バスケットボール選手権大会 出場)