世界に通用するコンビ 〈女子日本代表 渡嘉敷 来夢選手〉

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 オリンピックへ向け、強化合宿をスタートさせた4月。「世界1位のアメリカ代表と対戦したい思いはすごくあります」と渡嘉敷 来夢選手は話していた。2016年8月16日、リオデジャネイロの地で、その願いは予定より早く実現した。
「決勝で当たって、もっと良いゲームをしたかったというのが本心です」

 グループA4位の日本は、準々決勝でグループB1位のアメリカ戦を迎える。渡嘉敷選手は唯一、30分を超える35分45秒コートに立ち続け、14得点/3リバウンド/4アシスト/2ファウル/1ターンオーバーを記録。先発のティナ・チャールズ選手から始まり、シルビア・フォールズ選手、ブレアナ・スチュワート選手、ブリトニー・グライナー選手、エレーナ・デナ・ダン選手と代わる代わる豪華なマッチアップが続く。チャールズ選手を4点に抑え、シアトル・ストームのチームメイトであるスチュワート選手は2点しか挙げられず、その時は渡嘉敷選手がマークはしていなかった。世界No.1のアメリカが執拗に日本のエースをマークし、渡嘉敷選手自身は少なからずディフェンスでは対抗していた。しかし結果は64-110。後半は18-54と本気のアメリカに為す術が無かった。
「勝負なので、負けたのは本当に悔しい。どんなに良いゲームをしても負けは負けなので悔しいです。でも、最後の試合は良い形で自分たちの全てを出すことはできたと思います。やりきったと思いますし、これが今の日本のレベルだと思います」

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 良い形のバスケットとは、「チームとしては走るバスケットができたと思います。チームディフェンスというよりも、相手のオフェンスが強烈すぎました。全部を止めるのは無理でしたが、それでも止められる部分もありましたし、オフェンスではチームとしてやるべきことはできていました。それがアメリカを苦しめることができたのかなと思っています」と説明。しかし、渡嘉敷選手自身を評価してもらうと、「まずまずじゃないですかね」と歯切れが悪い。
「これが今のレベルだと思っています。でも、今の自分には満足していませんし、ここで終わるとも思っていません。もっともっとレベルアップして、今後のWNBAでも、Wリーグでも、そしてまた世界の舞台でも、もっともっと自分を出していき、もっともっとマークされるように頑張りたいです」

 待望のアメリカ戦で締めくくられたオリンピックの舞台は、「自分が成長できるバスケット人生の中で、本当に大きな出来事でした。一言で言えば、楽しかったという気持ちでいっぱいです」とまとめる。2年前のFIBA世界選手権の時は、怪我のために#12吉田 亜沙美選手は不在だった。「FIBA世界選手権の経験がなかったので、リュウさん(吉田選手のコートネーム)に追いつくためにも、まずは自分一人で経験するという気持ちでした」。その時の結果は、予選ラウンド3連敗で早々に帰国を余儀なくされた。2年を経て、目標としていたオリンピックの舞台に立ち、20年ぶりに予選ラウンドを突破する快進撃を見せる。「私たち2人は世界でも通用すると思いました。日本の武器であり、もっとレベルを上げていけばメダルを狙えると思います。もっともっと磨いていきたい」と吉田選手とのコンビに自信を見せている。

 吉田選手も同じ思いであり、「一緒に練習できる期間が短くても、合うというのは分かっていました。私自身、今回のオリンピックを経て課題が見つかりましたし、彼女自身も課題とともにお互いに悔しさを持っていると思います。もっともっと成長してステップアップして2人で日本を引っ張っていくという気持ちがあれば、東京オリンピックでは必ずメダルを獲れるという確信がありました。私たち2人がしっかりしていれば、日本はもっともっと強くなる。私と渡嘉敷がそれぞれ課題を克服してステップアップし、また新たな挑戦をしていきたいです」と東京オリンピックを視野に入れるような前向きなコメントを残していた。しかしその直後、「東京オリンピックは若い選手たちがこれから良い経験をして、しっかりメダルを勝ち取ってもらいたい」と吉田選手はバトンタッチの意向を示している。

 ロンドンオリンピック予選時、長崎県大村市で行われたアジア予選では渡嘉敷選手の足の状態は万全では無く、翌年のFIBAオリンピック最終予選には出場できなかった。しかし2013年、43年ぶりにアジアチャンピオンとなり、渡嘉敷選手はようやく日本代表として躍動し始めた。黄金時代が幕を開けた瞬間である。2013年FIBA ASIA選手権に向かう前、「東京オリンピックに出たいという気持ちはあります。その頃にはしっかり体もできているのではないかと思いますし、経験を積んだことでゆとりある動きができるようになっていたいです。まずはリオに出てオリンピックを経験して、そして東京を迎えること」というプランを語っていた。そのプラン通りにリオを経験し、次は東京オリンピック……「いやー、(4年後を見据えるのは)ちょっと早いです」

 まずはWNBAでの活躍が目下の大きなチャレンジになる。現在中断しているWNBAは、オリンピック終了後まもない8月26日より再開される。シアトル・ストームは首位に立つLAスパークスを迎えるホームゲームが待っており、プレイオフへ向けて負けられない。渡嘉敷選手は引き続き、世界No.1を相手に最高峰リーグで戦っていく。