頼もしき不安要素たち 〈女子ユニバーシアード日本代表 小笠原美奈選手、中田珠未選手、藤本愛妃選手〉

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 第29回ユニバーシアード競技大会(2017/台北)での金メダルを目指す12名が決定した当初、佐藤 智信ヘッドコーチは「下級生たちの意識がどこまで高まるかが一つのカギ」と言い、その可能性に賭けて選出した。その下級生とは、#13小笠原 美奈選手、#14 中田 珠未選手、#15 藤本 愛妃選手の3選手。いずれも大学2年生の下級生たちである。

 スモールフォワードの小笠原選手は、佐藤ヘッドコーチに練習中から何度も同じことを言い続けてきた。インサイド陣の中田選手と藤本選手は、日本の大黒柱にならねばならない。この3人は、これまでの過程を振り返れば、「もう不安でしかなかったです」と、帰国した直後も佐藤ヘッドコーチはこぼしてもいた。しかし彼女たちが成長し、活躍したからこそ、50年ぶりの銀メダルを獲得できた要因でもある。

「惜しい試合だったからこそ世界一になりたかった」と話す#14 中田 珠未選手
「惜しい試合だったからこそ世界一になりたかった」と話す#14 中田 珠未選手

 2年生たちにとって、チームメイトは憧れの先輩たちである。中田選手は、「安間(志織)さんやキキさん(林咲希選手)など、大学に入ったばかりの頃に4年生としてバリバリ活躍されてました。遠い存在だった選手たちと、同じチームで一緒に試合に出られることが何よりもうれしかったです。また、藤岡(麻菜美)さんと村山(翠)さんは既に卒業していて、大学で一緒にプレイしたことがありませんでした。そういった憧れの選手たちと一緒にプレイできたことも楽しかったです」と笑顔を見せた。
 大学バスケ界を引っ張ってきたスター選手たちとの競演が、2年生たちの素質を引き出したと言っても過言ではない。佐藤ヘッドコーチの不安を払拭してくれたのも、「藤岡と安間のガード陣」と認めている。

 緊張はあったが、それでも物怖じしないのが3選手の共通した長所である。
 7月の第39回ウィリアム・ジョーンズカップで優勝し、大会直前に世界のトップクラスが来日した女子U24 4ヵ国対抗2017が大きく彼女たちを前進させてくれた。
 「まだキャリアの浅い2年生の中田、小笠原、藤本が国際試合でどこまでできるのかということも試していましたが、試合をする毎に良くなってくれました。また、自分の仕事が分かって実際にゲームで出せるようになったので、戦力として計算できるようになったことも大きかったです」と佐藤ヘッドコーチもひと安心して、ユニバーシアード競技大会に向かうことができていた。

「次のユニバーシアードで自分ら3人が頑張って、次こそ今回果たせなかった結果を残したい」と意欲を語った#15 藤本 愛妃選手
「次のユニバーシアードで自分ら3人が頑張って、次こそ今回果たせなかった結果を残したい」と意欲を語った#15 藤本 愛妃選手

 4カ国対抗で自信を持って臨み、ユニバーシアード競技大会でしっかり自分の役割を果たした藤本選手だったが、「本番では、4カ国対抗で感じた以上に相手は強くて大きかったです。国内では感じたことはあまりないですが、パワー負けしているとすごく思わされました」と、出てくる言葉は反省点ばかり。
 小笠原選手は、予選ラウンド最終戦のカナダ戦、ベスト進出を決めたロシア戦、そしてオーストラリアとの決勝戦と、大事な場面に先発で起用されるほど佐藤ヘッドコーチの信頼を勝ち得るまでになった。しかし、藤本選手同様、反省の言葉が続く。「途中からスタメンを任されましたが、どこで起用されても変わらずにフォワードとして走って、ディフェンスは必ずやろうと心がけていたのですが、それを徹底できなかったことが悔いに残っています」。課題を感じることができたことこそが、世界と対等に戦えていた何よりの証拠でもある。

 大会を振り返っていくにつれて、金メダルを勝ち取れなかった悔しさがフツフツと沸いてきた。

 「大学生たちは1月から選考会が始まり、もともと知っている同士だったので、どこか代表活動というよりかは、いつもの大学のチームとして動いてきたような気持ちがすごく強くて楽しかったです。でも、このチームとしての目標に掲げた結果は出せなかったわけですし、惜しい試合だったからこそ世界一になりたかったなとすごく思います」(中田珠未選手)

 「このメンバーだったら金メダルを獲れると思っていました。最後は勝ちたい気持ちでオーストラリアに負けてしまったのかもしれません。相手の勢いに流されてしまった部分が多かったので、そこを2年後は自分たちで借りを返したいです」(小笠原美奈選手)

「2年後は自分たちで借りを返したい」と燃える#13小笠原 美奈選手
「2年後は自分たちで借りを返したい」と燃える#13小笠原 美奈選手

 「ここまで来られたことはすごいことですが、逆にここまで来たからこそ本当に金メダルを獲りたかったです。このチームで絶対に優勝したいと思っていたので、負けた時は本当に悔しかったです。でも、これを機に次のユニバーシアードで自分ら3人が頑張って、次こそ今回果たせなかった結果を残したいとすごく思いました」(藤本愛妃選手)

 「2年後は…」「次こそ…」
 2年生たちにとってはあと2回、ユニバーシアード競技大会に出られるチャンスが待っている。銀メダルがモチベーションとなる一方で、プレッシャーにもなり得る。 「今回は一番下だったので、先輩たちに引っ張ってもらってましたが、次はそういうわけにはいきません。この経験をしたからこそ、自分たちがやらないといけないです」と中田選手は言い、2年後にスイッチを切り替えた。大学生たちは、すでにリーグ戦が開幕している。金メダルを目指して、2年生であっても遠慮することなく、リーダーシップを持ってチームを引っ張っていく存在になってほしいと期待している。

50年ぶりの銀メダルを獲得した女子ユニバーシアード日本代表チーム
50年ぶりの銀メダルを獲得した女子ユニバーシアード日本代表チーム

 
小笠原 美奈

  • 1997年6月6日生
  • 177cm/69kg/スモールフォワード
  • 東京都出身
  • 明星学園高校~専修大学 2年
  • 平成29年女子ユニバーシアード日本代表選手 (第29回ユニバーシアード競技大会 出場)

中田 珠未

  • 1997年12月21日生
  • 181cm/63kg/パワーフォワード
  • 埼玉県出身
  • 明星学園高校~早稲田大学 2年
  • 平成29年女子ユニバーシアード日本代表選手 (第29回ユニバーシアード競技大会 出場)
  • 平成26年度女子U-17日本代表選手(第3回FIBA U-17女子バスケットボール世界選手権大会 出場)
  • 平成25年度女子U-16日本代表選手(第3回FIBA ASIA U-16女子バスケットボール選手権大会 出場)

藤本 愛妃

  • 1998年2月11日生
  • 179cm/76kg/パワーフォワード
  • 愛知県出身
  • 桜花学園高校~東京医療保健大学 2年
  • 平成29年女子ユニバーシアード日本代表選手 (第29回ユニバーシアード競技大会 出場)