アジアで負け知らずなビッグマン 〈女子日本代表候補 王 新朝喜選手〉

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 高校時代に日本に来て以来、189cmの大きな身体を生かしてバスケットに勤しんできた。2013年に帰化申請が受理され、日本国籍を取得。好きな漢字を組み合わせた「新朝喜(あさこ)」という日本名をつけた時に、日本代表デビューを飾っている。王 新朝喜選手が日本代表入りしてから、FIBA ASIA選手権で負けたことがない。2013年タイ・バンコク大会、そして昨年2015年のオリンピック アジア予選となった中国・武漢大会も全勝優勝でアジアチャンピオン2連覇中だ。

 最初の日本代表活動に参加した2013年、ヨーロッパ遠征時にリトアニア国際トーナメントに参加し、3戦全勝で優勝を飾った。Wリーグや学生時代に優勝した経験ある選手が集まる日本代表ゆえに、表彰式には慣れている。しかし、王選手にとっては全てが初めての体験であり、表彰式では思わず、「初めての金メダルだ」と声に出してしまったそうだ。素直で真面目な王選手らしいエピソードである。

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 日本代表で3年目を迎えた今年は、夢見ていたオリンピックが手に届くところまできた。「海外の大きな相手と戦うために、パワーアップして力強い身体を作らなければなりません。さらに、それにプラスして高さに対する守り方やリバウンドを確実に取ること、走る力を身につけていきたいです。華麗なプレイはできないので、泥臭いことやフックシュートを確実に決められるようにするなど、当たり前のことの質をもっともっと上げてやっていきたいです」と目的意識を明確にして強化に励む。
 昨年、WNBAから戻ってきた渡嘉敷 来夢選手は、「王さんとぶつかり合いをした時も『強くなったんじゃない』と言われました」と喜んでいたほど、国内屈指の身体の強さがある王選手。オリンピックへ向け、さらなるパワーアップが目下の課題だ。

 2年前に出場したFIBA世界選手権では、3連敗で予選ラウンド敗退。課題の方が多く見つかった大会となったが、その中でも日本の良さも見られ、そこを伸ばすことがオリンピックでのメダルに近づくはずだ。
「日本の走力は大きい相手にとっては嫌がる部分です。日本のみんなが持っている特徴であり、そこを生かして良い流れで試合ができるようにしたいです」

 189cmの王選手でも小さく感じられてしまうのが、世界との戦いだ。逆にWリーグでは、小さな選手たちが日本の特徴である機敏さで、大きな王選手をかき回してくる。そこに世界と戦うヒントがありそうだ。
「ダブルチーム以外で簡単にポジションを取らせてもらえなかったり、足を使われてスティールされたり、リバウンド時もゴール下から押し出されたり、そういうのはWリーグでやられて嫌だったので、逆に世界では大きい相手に対してそれが通用するかもしれません。日本はリバウンドを徹底しなければならず、相手の方が高さがある分、ゴール下に押し込まれてしまってはボールを取ることはできないです。ゴールから遠いところまで相手を押し出すことができるように、Wリーグで小さい相手にやられて嫌だったと実感したことを、今度は世界で自分がやれるようにしたいです」

 日本国籍を取得して日本代表に入り、アジアチャンピオンとなってオリンピックを目の前までたぐり寄せることができた。
 この状況の変化を、王選手自身は「昨年のアジア予選で日本が優勝したことで、中国はOQT(FIBA女子オリンピック世界最終予選)に進まなければいけなくなり、複雑な気持ちはありました。でも、私は日本でずっとプレイしてきましたし、今はもう日本代表になったわけですから、もちろん優勝してオリンピックに行くことしか考えていなかったです。オリンピックに出ることはみんなの夢でもあり、自分もずっと夢見てきました。それを今、叶えられるところまできています。OQTで中国には勝ってもらって、一緒にオリンピックに行きたいです」と話す。
 2013年に故郷・天津で開催された東アジア競技大会、昨年のアジア予選でも、中国開催にも関わらずご家族は日の丸を振って日本代表を応援してくれた。王選手の活躍を誰よりも喜んでいる。

 リオデジャネイロオリンピックでメダルに挑戦する女子日本代表にとって、その場に立つためには試練も多く、競争は避けられない。
「自分のポジションは、間宮(佑圭)の他に(赤穂)さくらも入ってきて、それだけでも激しい競争になっています。もちろん自分とさくらと間宮の3人が12名入りを争うだけではなく、スタメンのポジションを勝ち取るというくらい意気込んでやらなければ、チームのレベルアップにもつながりません。それぞれ一緒に練習から全力でぶつかり合いながらお互いに成長して、オリンピックに向けて一番良い状態に持っていくことが大切です」

 日本代表歴を積み重ねる頼もしいビッグマン。2つの故郷を持つ王選手への期待は、他の選手よりもさらに大きい。

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王 新朝喜

  • 1987年12月16日生
  • 189cm/83kg/センター
  • 中国出身
  • 岐阜女子高校~白鷗大学~三菱電機 コアラーズ
  • 平成28年度女子日本代表候補選手
  • 平成27年度女子日本代表選手(第26回FIBA ASIA女子バスケットボール選手権大会 出場)
  • 平成26年度女子日本代表選手(第17回FIBA女子バスケットボール世界選手権大会 出場)
  • 平成25年度女子日本代表選手(第25回FIBA ASIA女子バスケットボール選手権大会 出場)